いよいよ大晦日。
昼過ぎに表に出るとお日さまがしばし顔を出して、その暖かさに春を思いました。
そういえばおととしの正月、もう五十河に生まれてからずっとこの地で生活してきた80過ぎのある人が「雪のない、こんな正月は初めてだ」と言われ、そしてまた去年もやはり雪がなく、こんな調子だと蝶々が飛ぶんじゃないかと冗談を言ったら、本堂の前庭に本当に黄色い蝶々が飛んできてびっくり…。
そして来年も(明日の元旦も)、3年続きの雪のない正月になりそうです。
世間では暖冬のマイナス面ばかりを話題にしますが、ここ五十河では雪が多いために村を離れていった人がいるわけで、「暖冬はありがたい」という声は正直なところです。
さて、お寺は例年のごとく年末の大掃除に追われ、また新年の準備にせかされて、それでも何とかここまで来ました。
無事に新年を迎えられるということは有り難いことだし、一つの大切な区切りではありますが、年が明けたからといって今までの自分が自分でなくなるわけでもない。年が明けても、これまでの自分がきちんとついてくる。
非常に身もふたもない言い方ですが、今日の私が、自分が望んでしてきたことの「それ以上でも、それ以下でもない」のと同様に、明日の元旦を迎えた私も、やはり自分の望む「それ以上でも、それ以下でもない」存在であるのは間違いのないところだと思います。
年が明けても、私が私として生きていこうとする限り「それ以上でも、それ以下でもない」自分が有り難く在るわけで、足元の一つ一つを大切に、慎重に、用心深く、慎ましく、できれば喜びを持ってさせていただければ…と思うのです。
それ以上でも、それ以下でもない